ネット予約RESERVE
ページトップへ

スタッフ紹介 STAFF

ドクターインタビュー

人にも動物にも愛される場所を目指して地域の飼い主さんにとっての心強いパートナーとして
川畑充
MITSURU KAWABATA
捨て犬や捨て猫の世話が大好きな少年が、やがて獣医へ

僕は横須賀生まれで、子どもの頃から動物が大好きでした。犬や猫を拾っては世話をするような子どもでしたね。あまりにも拾ってくるので、「飼うのは1匹だけにしてくれ」と父にいわれてしまい、仕方なく近所の洞穴で飼って、放課後、給食のパンを届けながら世話をしていました。

人生の転機は高校生のとき。動物の世話に明け暮れる僕の姿を見た母から「そんなに好きなら獣医になったら?」といわれたことが、獣医を目指すきっかけとなりました。勉強に専念するため、祖母が住む横浜から通学することになりました。

獣医として40年近く経つ今でも、動物のお産には感動

北里大学を卒業後、3年間の見習い期間を経て、28歳で川畑動物病院を開業。医療器具を熱湯で滅菌消毒していた時代です。1人で何もかもやっていたので、風邪を引いても、吐きそうになっても、休みなく動物の診療に明け暮れる日々でした。

もし獣医になっていなければ、ケニアの自然動物保護官になりたかったです。もしなっていたら、今頃ライオンにでも襲われていたかもしれませんね(笑)。

開業当時は、ペットに対して今のように意識が高くない時代で、狂犬病のワクチンや定期検診などをする飼い主さんはそう多くはいませんでした。

妻は犬の訓練士でコリーのブリーダーをしていて、始めはコリーが3〜4匹でしたが、今では山中湖近くに場所を移し、預かっているコリーを含めると70頭くらいの大所帯となりました。

子どもの頃から犬や猫を飼っていたので、獣医になる前からお産を見てきた経験がありますが、獣医になって40年近く数々のお産に立ち会ってきた今でも、犬や猫のお産は毎回感動しますね。

つい先日も犬のお産があったばかりで、なかなかの難産でした。これは帝王切開やむなしという状況の中で処置を続けたところ、ようやく1匹産まれてきたときは本当に感動しましたね。どのお産もひとつとして同じものがないのが、生命の神秘だと感じます。

せっかく交配しても、なかには子宮蓄膿症などにかかるケースもあります。はじめは無症状なので発見が難しいのですが、妊娠3週間くらい経つと、特に小型犬は子宮が卵のように腫れてくるので、さわるとわかります。

コリーなどは小さく産まれるので比較的安産です。でも、パグなどの頭の大きな犬は産道が通りづらく、大型犬はそもそも大きく産まれるので難産傾向にあるなど、犬種によってケースはさまざまです。

動物の本質はなにか? ということに向き合うのが使命

本当は、動物を診察するときは、普段着で診た方がいいと思っています。もちろん、飼い主さんからしてみるとラフでだらしない印象を受けるかもしれません。でも、白衣を着ていると、犬や猫たちは、明らかに飼い主さんと友だちじゃないと僕らを認識してしまうのです。それは、小児科で診察中に子どもが泣き出すのと一緒であり、動物の本質でもあります。

なかには重病で命が危なく、他院で手の施しようがない動物を連れて、遠方から当院にいらっしゃる飼い主さんもいます。

そういう意味でも、動物を飼うということは、命と向き合うことです。ペットの命が危ないとき、飼い主さんのパターンは、死に目に立ち会いたい人、立ち会いたくない人の2パターンに分かれます。

もちろん、タイミングよくペットの死に目に立ち会えるとも限らないのが命です。診療の末、やむなく死んでしまうこともあります。そういうときが、僕たち獣医にとっても一番つらい瞬間ですね。

飼い主さんの希望に沿いながら、動物が味わう痛みを最小限に

当院では、基本的に飼い主さんのご希望に沿った治療を心がけています。動物は人間ほど病院に来る機会は多くありません。

たとえば、疾患やケガによって全身麻酔やオペが必要なときに、別の疾患が見つかるケースもあります。病院に来るストレスや治療にともなう痛みは最小限の方がいいのは、人も動物も同じこと。そんなときは、事前に治療のご提案をすることもあります。
人の4倍速で生きるペットを理解した理想の飼い方は?

犬や猫は人の4倍速で生きています。うちの犬は、毎年検査を受けていましたが、あるとき呼吸が速いことに気づき、レントゲンを撮ると、いつの間に肺がんにかかっていました。

犬や猫のメスは、生後たった7ヶ月で子どもを産めるようになるし、4倍速で生きていることを考えると、人間時間で考えた年に1度の検査では足りないこともあるのです。

野良猫の平均寿命は5歳。生存競争が激しい野生動物が生きていくのは過酷です。一方、飼い猫の場合、長生きすれば10〜15年間生きますが、それは、人間社会があるからこそ。4倍速で生きる動物だからこそ、その上でいかにケアしていくかを考えることが重要なのです。

近年、犬や猫の多頭飼いをするケースが増えています。動物の性質を考えれば、普通のご家庭では、8歳になったらもう1匹増やすくらいが理想です。

犬や猫は8歳にもなるとすでにお年寄りです。そこに、若い子がやって来ると、先住の犬や猫は競争意識がかき立てられて若返り、免疫力が上がると言われています。

飼い主さんの対応としては、まずは先住の犬猫を心からかわいがって愛情を注ぐこと。その代わり、先住の犬猫のいないところで後から迎えた犬や猫を思う存分かわいがることをおすすめします。

当院で働く獣医には、多くのことを吸収してほしい

当院では、獣医が専門分野を鍛える取り組みを用意しています。それから、僕から獣医やスタッフに伝授できるのは、動物の扱い方について。ロジカルに説明するのは難しいですが、注射をするときによく飼い主さんから、「うちの子、院長だと痛がらない」といわれたり、レントゲンを撮るときにものすごく暴れる犬でも、僕なら撮らせてくれたりすることも。

おそらく、僕ならではの長年培った犬猫の触れ方があるのだと思います。でも、もしかしたら、犬や猫が気を遣っているだけかもしれませんね(笑)。ともあれ、さまざまなことをたくさん当院で吸収し、活躍の幅を広げていただければと思います。

人も動物も好きだからこそ、続けることができた

長年、横須賀で開業していると、何代にも渡って診察に訪れる飼い主さんもいますし、数十年前に診察した飼い主さんに再びお会いする機会もあります。

小さかった息子さんが大きくなって成長した姿を見ると、驚いて、しばし診察とは関係ない話に発展することも多々ありますね。動物だけでなく、地元の人とそうしたふれあいがあるのも、長年この地で獣医をしていてよかったなと思える瞬間です。

現在、週4回診察を担当していますが、優秀な若いスタッフたちがたくさん増えて、本当によくやってくれるので、安心して任せられます。

若い人に仕事を任せるにあたって心がけているのは、“親切に、見逃さないように、ていねいに”というモットーを僕なりに伝えることです。

人も動物も好きだからこそ、これまで獣医を続けてこられたと思っています。これからも、人にも動物にも愛される動物病院を目指して参ります。当院を末永くどうぞよろしくお願い致します。

院長 川畑充
出身大学:北里大学
経歴:川畑動物病院設立
所属:横須賀三浦獣医師会
好きな動物の種類:動物全般